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代理旅行業?

 最近はなかなか旅行にもいけないので「代わりに旅行に行ってくれる」代理旅行業(サービス)なるものがないか検索してみましたが、ピッタリのものが見当たりませんでした。 想定したのは現地ガイドさんにオンラインでカメラ、音声をつないだ状態で指定した場所に行っていただくという単純なサービスです(特殊な機材とソフトウェアを使った没入型 [VR] ディスプレイでのサービス提供とかも考えられますが)。近頃では自動翻訳ソフトもあるので、ことばの問題はあまり気にしなくてもよいかもしれません。 関連しそうなものとして見つかったのは次のようなものです。 代わりにぬいぐるみが旅行に行ってくれるサービス 自動運転ロボットの提案 録画など基づくバーチャルツアー 例えば こちら (COVID-19 が猛威をふるっていたころなら仕事がなくなっていたガイドさんたちが「代わりに旅行に行ってくれる」サービスを提供していたかもしれません。) 代理旅行サービスのメリットは 物理的、時間的に旅行に行けなくても遠隔地のものごとを「見る」ことができる。 移動の苦行を避けることができる。 サービス提供者に知識があれば現地の知識を詳しく知ることができる(個人旅行と対比した場合)。 柔軟な行き先設定(パック旅行と対比した場合) 適宜時間を設定すれば時差ボケの問題がない 航空燃料を消費しないのでエコ 感染対策などに気を使う必要がない 場合によっては安価 (同一のガイドさんが全行程につきあう必要はありません〜見たいところだけ設定した時間に行っていただければよいという形でよいでしょう。) デメリットは 視聴覚以外の感覚(特に味覚)情報が得られない。 「そこへ行った」ということにはならない。 場合によっては高価(ガイド代) 旅行は「そこへ行った」という事実が重要だったりするので、そこが最大のネックかも知れませんが、取材などで現地の「視察」が必要な場合、役に立つサービスなのではないかと思います。 こういうサービスができたらおまえは行くのかという問いについては、もう少しして(足腰が弱ったりして)本当に旅行ができなくなりそうになってきたらもう一度調べてみようと思いますと答えておきます...

SDGs

 岩波新書『 SDGs 危機の時代の羅針盤 』(2020)を読みました。 Wikipedia によれば「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)は、2015年9月25日に国連総会で採択された、持続可能な開発のための17の国際目標」で「その下に169の達成基準と232の指標が決められている」とのことです( 全文 )。特に貧困の解消と環境の問題が重要視されているようです。 人類(わたしたち)が当面取り組むべき(変革すべき)課題を総括的に国際社会(国家やNGOなど)が国連の枠組みでとりまとめたものということで、大きな意味があると思います。 目標は各国を拘束しないということでまとまった側面もある一方、実効性がないという問題もあります。実際、2019年の首脳級会合では進捗の遅れが指摘されているようです。 メディアの取り扱いのせいか SDGsというと環境問題を思い浮かべていましたが、この本では地域でNGO諸団体などが地道に取り組んでいるその他の諸課題を多くひろっています(共著者の一人がNGOの方であることにもよっているかと思います)。 この本を読んだ動機の一つは「SDGsはアヘンである」という 物言い があってひっかかっていたということがあります。「アヘンである」ということは、それらが擬似問題であって他に取り組むべき重要な問題があるという意味合いかと思いますが、腑に落ちません。資本主義を取り除くことがより重要だと言いたいのかもしれませんが、目標と原因を取り違えている気もします。あるいは気候問題がより重要ということなのかもしれませんが、当人も(SDGsがそうであるように)人権その他の諸問題に広く目を配っているようです。 SDGs はとっつきやすくするためか目標のカラーコーティングが行われており、SDGs を扱う記事や番組はトレンディな感覚を与えます。そこらへんもアヘンぽく見えるのかもしれません。もちろんSDGs を標榜した企業などの「 グリーンウォッシング 」(やってるふり)が問題であることは言を俟ちません。 いずれにしても SDGs の主要課題である環境問題、特に気候変動問題(そちらを議論する主な会議は COP)は待ったなしです。他の課題と違い解決が遅れると地球環境全体に非可逆的な変化が起きてしまう可能性があるからです。 メデ

電子本閲覧アプリ

今まで使った電子本閲覧アプリについて書きます。 特に指定がなければアプリは iOS 用のものです。 Kindle 最も多く使っています(主に洋書読書用)。 日英以外の洋書もないことはないです。 テキストのコピーは通常可能。 独自の辞書と翻訳(Bing?)、読み上げ機能(翻訳パネルより)がついています。 辞書と翻訳はあまり良くない気がします(辞書は使いづらく、翻訳は意味不明な結果が多い)。 複数デバイス間で同期します。 Kindle Cloud Reader (ブラウザアプリ) Kindleアプリで読めてもこちらでは読めないコンテンツも多いです。 テキストのコピーは不可。 辞書や翻訳、読み上げ機能はない。 ハイライトは黄色のみ。 ハイライトと最後に読んだ箇所はアプリ版と同期する仕様ですが不安定。 Books 有料コンテンツはそれほど充実していません。 和書以外のコンテンツも(韓国語を含め)ないことはないです。 テキストのコピーは可能ですが、都度書誌情報も一緒にコピーされてきます。 辞書や翻訳、読み上げ機能は iOS のもの。 辞書は活用された韓国語の単語を直接引くことができないものの、代わりに翻訳が使えます(たまに意味不明の場合は外部の翻訳ソフトを使用)。 honto リーダー 和書が充実しています(外国語の本はたぶんない)。 直接のテキストコピーは不可ですが、コンテンツによっては選択箇所のWeb検索ができるので、ブラウザの検索窓経由でコピーすることが可能。 辞書引きは iOS の辞書を利用しています。 Acrobat Digital Edition 以前、外国の電子書店で購入した epub (Adobe DRM付き)を読むのに利用していました。 一時障害が発生してコンテンツを読めなくなったので、下記の PocketBook に移行しました。 テキストのコピーは不可。 翻訳、読み上げ機能はない。 辞書は iOS のもの、デフォルトのテキスト選択で句読点を含んでしまい、含まないように調整しないと辞書が引けないのでやや面倒。英語、イタリア語、ドイツ語などは活用していても引ける。 PocketBook 外国の電子書店で購入した epub (Adobe DRM付き)を読むのに利用しています。 テキストのコピー可能。 辞書

ノートパッド

今までほとんどの場合、講義・講演のメモ(ノート)取りは紙のノートパッドで行ってきたのですが(最近では数年前にロンドンで買った これ )、 Remarkable 2  ( Wired.jpの記事 ) のネット広告を見て、電子ペーパータブレットを調べてみました( 比較記事 〜実際食指が動いた)。しかしそれなりの値段がするので、iPad のアプリでもできるんじゃないかと我に返って検索してみた結果、iOS の標準メモアプリ(英語名は Notes)でかなりのことができることがわかりました。電子ペーパーだとモノクロですが、色も使えるし、iCloud との統合も自然に行なえます。 近ごろは出席する講義・講演はすべてオンラインで、聴講端末には iPad を使っています。画面を分割して半分の画面でノートを取ることもできますが、初代の iPad Air もあるので、一方で聴講、もう一方でノートを取ることを考えました。 古い iPad Air では iOS を新しくすることができないため、メモアプリの機能も限られます。例えばタグで整理することができないし、ヘッダー部分の文字認識も行われません(これについては、新しい iPad でメモを編集すると文字認識が行われます)。手元のスタイラスだと文字をスムーズに書き込むこともできませんでした。 新しい方の iPad のメモアプリの機能は十分なので、古い iPad で Zoom 聴講するということも考えられます(ビデオをオンにすると背景機能とか問題があるのですが)。 古い iPad で文字をスムーズに書き込むことができない問題については、新しいスタイラスを買うことを検討しました(スタイラスには 大別して三種類ある ということです)。とりあえず Daily Gadget の記事 を見て Can★Do に行き、ペン先に円盤が付いた(ボールペンなしの)ものをゲットしました。以前から持っていた金網ペン先のものよりましな使い勝手なので、手書き入力用には当面これを使うことにしました(仕組み的に手を画面に置けない問題はあります)。 しかし、実際に講義・講演のメモ取りをやってみると、テキストをタイプしてしまったほうが速いかもという気がしてきました。ということでしばらく iPad 上のメモアプリを使い、ソフトウェアキーボードでタイピングするという(当初の物欲妄想とは

『人新世の「資本論」』

斎藤幸平著・ 集英社新書『人新世の「資本論」』(2020)を読みました。以下要約です。 「脱成長コミュニズム」を主張し、その理由付けと今後に向けた道筋を記しています。 最大の理由として挙げられているのは気候危機です。 経済成長と気候危機回避は両立しない この点について多くのページが費やされていますが、この要約では環境学者の Johan Rockström 氏が2019年にそのような分析を行ったという記述を挙げておきます。両立しないということは、技術革新があったとしても 経済成長を続ければ気候危機を回避できないということを意味します。その場合 、経済成長を続けて気候危機に突入するか、脱成長により 気候危機を回避するかという二択になります。 資本主義の問題 気候変動問題との関係では、資本主義が経済成長を前提としているということが本質的な問題とされています。また、資本主義あるいは人新世の経済システムが環境問題を途上国や将来に転嫁し続けてきたことが挙げられています。 資本主義のもう一つの大きな問題点は「 包摂 」と呼ばれるもので、人びとを都市生活者、分業労働者とすることで、もともと持っていた生活基盤と力を失わせるという現象を生んでいます。これにより、人びとは「システム」に従属せざるを得なくなります。 ほかにも資本主義についてさまざまな問題点が挙げられています。 〈コモン〉の話 〈 コモン 〉は「民主的に管理される公共財」として捉えられ、 ネグリ&ハートや宇沢弘文(社会的共通資本 )によって論じられてきました。気候変動問題との関連では、地球環境は 〈コモン〉とみなされるべきだということになります。資本主義が発展するにつれ、かつて 〈コモン〉であった さまざまな公共財 が「民有化」され、利潤追求の道具になってきたという歴史があります。この本では 〈コモン〉を取り戻すのが「 コミュニズム 」であるとされます。 マルクスの話 著者はマルクスの研究者なので、上で述べたようなことがマルクスの著作中に見いだせることを示します。マルクスのそうした考察は主に『資本論』出版後に行われたということです。マルクスは、古代ゲルマンの「マルク協同体」や農学者 Karl Nikolas Fraas  の古代文明の崩壊過程についての考察などを通じて 〈コモン〉とエコロジー、脱成長などの考えを醸成していっ

ポーランド語・ウクライナ語同時学習その8(格など)

前回 格の種類 ポーランド語の名詞の 活用表 とウクライナ語の名詞の 活用表 (共に英語Wikipedia)を見ると、どちらにも主格、対格、生格、与格、造格(具格)、所格、呼格の7つの格があります。 「 その2 」でも書いたようにポーランド語とウクライナ語の be 動詞(być)の述語となる普通名詞は造格(具格)となるようです。また、ポーランド語では複数では主格形=呼格形のようです。 ちなみに東スラブ語のウクライナ語やロシア語、南スラブ語のセルビア・クロアチア語などでは女性単数対格が概ね u で終わるのですが、ポーランド語では ę で終わります (例: matka  ⇒  matkę )。もしやと思って(同じ西スラブ語の)チェコ語の活用を見てみましたが、u で終わっています。ここではポーランド語が特殊ということですね。 数字+名詞 ポーランド語 ニューエクスプレス+では、1の後は単数主格、2,3,4の後は複数主格、5以上は複数生格と書いてありますが、 こちら には少し違うことが書いてあり、 こちら や こちら (男性名詞に特別な形がある?)はさらに複雑です。うーん... ウクライナ語 1の後は単数主格、末位が2〜4の後は、男性名詞は複数主格、それ以外は単数生格、末位が5〜20の後は複数生格、21以上の場合は最後の数字を見て判断するとあります。 スラブ諸語は、1, 2-4, 5...の扱いの違い、生格の利用(格変化が残っている場合)といった部分では似通っていますが、細かいところは違うようです。 1〜5 数字の話が出たついでに   Wikipedia上のSwadeshリスト にある数字1〜5の比較を貼っておきます ( under the   Creative Commons Attribution-ShareAlike License ) 。 ポーランド語 ウクライナ語 ロシア語 1 jeden оди́н (odýn) оди́н (odín) 2 dwa два (dva) два (dva) 3 trzy три (try) три (tri) 4 cztery чоти́ри (čotýry) четы́ре (četýre) 5 pięć п'ять (pʺjatʹ) пять (pjatʹ) 今回は駆け足で2つの言語の比較をしてみまし

ポーランド語・ウクライナ語同時学習その7(疑問詞と前置詞)

前回 疑問詞 主なものをひろってみました(以下は主格です。形容詞的に使われる場合は性・数でも変化します)。 ポーランド語 ウクライナ語 ロシア語 英語 /t͡sɔ/ /ʃt͡ʃɔ/ /ʃto/ What /ktɔ/ /xtɔ/ /kto/ Who /ktu.rɨ/ /jɐˈkɪi̯/ /kakoji/ Which /ɡd͡ʑɛ/ /dɛ/ /gdje/ Where /kjɛ.dɨ/ /kɔˈɫɪ/ /kagda/ When /jak/ /jak/ /kak/ How /i.lɛ/ /sʲkʲilʲke/ /skolʲkə/ How much/many /ˈt͡ʂɛ.mu/, /dlaˈt͡ʂɛ.ɡɔ/ /t͡ʃoˈmu/ /patamu/ Why 前置詞 こちらも主だったものをひろってみました。 (ポーランド語は綴り、ウクライナ語とロシア語は発音記号表記) ポーランド語 ウクライナ語 ロシア語 英語 na v v in w v, na na at z ʋʲid iz/ ot from do dɔ k(доは時間的な"前") to z z s with bez bɛz bez without za/na v po per etc. dla dʲlʲa dlʲa for około nɐu̯ˈkɔɫɔ okələ around przez tʃerez tʃerez through/across między mʲiʒ meʒdu between pod pʲid pad under przez/powyżej za/nad za/vɨʃe over/above przed pered pered in front of za za za behind z powodu tʃerez iz-za because of 次回