家庭用蓄電池

家庭用蓄電池を(昨年1月に)買ってしまった顛末を書きます。

まずは結論

  • セールストークに引っかかってしまった。
  • 製品自体には満足している。
  • 誤算は電力価格の低迷
ということで時系列順に...

契約

2023年1月中旬に某代理店からセールスの電話を受けました。家庭用蓄電池のセールスは V2H を導入していたので断っていたのですが、買電20円/KWHというキャッチに引っかかって訪問を受けることにしました。

購買のポイントは経済的メリットがあるかどうかという点に尽きます。
蓄電池の経済的メリットは買電単価と太陽光電力の売電単価の差に依存します。蓄電池の寿命を20年とすると20年間の平均単価を考えればよいわけです。2022年12月の電気料金単価は41円/KWHで、その10年前は29円/KWHだったので41%の値上がりですが、よく覚えていない理由で今後20年の平均電力価格を50%値上がりの61円/KWHとしました。売電価格は11.5円/KWHで固定とすると売買電による利潤は50円/KWHとなります。
蓄電池容量を5KWhとすると月最大150KWh なので月7,500円〜年90,000円〜20年で180万円の収入になります。蓄電池の価格は175万ですが、20年保証で太陽光発電のパワーコンディショナー2個分(75万円ぐらい)の価格を含むということで、だいぶお得な気がしてその場で契約してしまいました(皆さんはその場での契約はしないようご注意ください!)。

クーリングオフ期間中に気づいたのは晴天率(曇天率)を計算に入れていなかったことでした。住んでいるところの晴天率〜58%を乗じるとそんなにお得ではないことになりますが、解約にはいたりませんでした(後で晴天率はあまり問題にはならないことがわかりました)。

純粋に経済的なことを言えば同じ金額を金融商品に投資していればずっと大きなリターンを得ることができますが、蓄電池には緊急時の電源機能であったり、FIT終了後の買取価格の下落の心理的ケアといった側面もあるので、それはよしとします。

他の懸念事項として、20年保証がついているといっても世の中何が起こるかわからないという(すべての設備導入に伴う)一般的な不安はあります...

その後

3月

アプリでエラーが出て、設定を出張で直してもらう。ソフトウェアの更新のせいらしい。
その後アプリで履歴が見れなくなり、代理店に問い合わせたが応答がないので、メーカー(蓄電池は中国製)に問い合わせた。メーカーのメール対応の迅速さに感銘を受ける。

5月

買取価格20円/KWH(1年間)の件を電話問い合わせる。
最初の担当は現在契約業者との差額を後で払い戻すとのことだったが、しばらくして別の担当から電話があり、東電の立会検査のあと直接買い取りとするとのこと。
ネットワーク障害で電話し、ブレーカー操作で復旧する。

8月

やっと拡張(20年)保証書が届く。
代理店から電話があり、東電の申請が済んでいないV2HについてV2H代理店と相談し、申請は代理店で行うことにしたとのこと。珍しく積極的なケア...

1月

やっと東電の関連会社が調査に来る...(秋に代理店から電話連絡があった)

3月

やっと20円/KWHでの買い取り開始

4月

買い取りアカウントの(変更)連絡がなくログインできないので代理店に電話...

年間実績

充電量、放電量、充放電による利益などを下の表に示します。


充放電による利益:放電消費金額 - 充電量×売電価格 =

第3段階料金×A + 第2段階料金×B + 第2段階料金×C - 充電量×売電価格

全電力消費 = 買電量+放電量

A = min(max(全電力消費-300, 0), 放電量)

B = if 全電力消費 > 300 then min(放電量-A, 180) else min(max(全電力消費-120, 0), 放電量)

C = if 全電力消費 > 120 then 放電量 - A -B else 放電量



3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

1

2

充電量

133

129

129

126

149

155

137

137

117

125

127

100

1564

放電量

127

127

125

121

145

151

134

134

112

122

120

96

1514

買電量

49

31

36

24

37

87

69

43

113

213

270

207

1179

消費量

176

158

161

145

182

238

203

177

225

335

390

303

2693

第三段

0

0

0

0

0

0

0

0

0

35

90

3

128

第二段

56

38

41

25

62

118

83

57

105

87

30

93

795

第一段

71

89

84

96

83

33

51

77

7

0

0

0

591

単価三

35

34








29

29

30

31

単価二

33

32

29

28

26

25

34

28

27

27

27

27

29

単価一

28

26

23

22

21

19

29

22

22

22

22

22

23

利益

2307

2047

1638

1363

1642

1795

2726

1715

1644

1927

1960

1451

22,210

見通し

年あたりの収益は2万2千円なので、状況が変わらなければ20年で44万円しか戻ってこないことになります。最大の誤算は電力価格の低迷で、現在単価が約30円/KWH、買電との価格差が20円/KWH未満というところにあります(契約時試算では価格差が50円/KWH)。契約時には戦争などの影響で電力価格が爆上がりしており、その後の1年は政府による補助金により電力価格が低下したという事情があります。一方、電力価格上昇を願うのは他人の不幸を願うことにもなり、買電をしていないわけではないので自分の身に累が及ぶということにもなります...

当初気にしていた晴天率ですが、表の充電量を見るとスペック上の年充電量上限365日×5KWH=1825KWHに対し年1564KWH〜86% の充電率となり、それほど問題にならないようです。1日ともかく5KWH充電できるだけの日照があればよいわけです。冬場は少ない日照による発電が暖房その他の消費に回ってしまうため、最悪 1/3 の充電率になっています。

充放電効率は上の表で見ると96.8%で、ニチコンの V2H がかろうじて5割を上回るほどの効率しかないことに比べると素晴らしいです。なお、V2H の放電は低電力で効率がさらに悪くなるので、悪天候などで家庭用蓄電池の放電がなくかつ炊事などで高電力消費があるときのみに限ることにしました。

アプリ系は、情報表示が十数分?遅れることと一切合切の情報がメーカーに漏洩することを除けばよくできています。

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